スポーツ界のトップアスリートともなれば、誰もが異才の選手となるわけですが、大谷 翔平が注目されるのはただずば抜けた才能を持っているからではありません。野球界で長らく不可能とされてきた、二刀流を実現した伝説の日本人野球選手だからです。
まだ、プロ野球が誕生したばかりの頃というのは、投手と野手を兼任することはそれほど珍しいものではありませんでした。それは選手間の実力差が大きかったため、投手として成功する実力があれば打者でも成功するだけの実力があったためです。現在でもプロと比較をするとレベルの落ちる高校野球などを見れば、これは珍しいことではなく、エースで四番という高校も少なくありません。ところがプロのレベルも底上げされてくると、一部の選手が突出するということはなくなり、投手と野手を兼任するのが難しくなってきました。
二刀流を実現しようとして、どちらも中途半端になるよりはどちらか一本に絞って成績を残す考え方が主流になってきたのです。そのような中で大谷 翔平は入団当初から二刀流を掲げて、それを高いレベルで実現したことで伝説となったわけです。高いレベルで実績を残したというのがポイントであり、実は比較的近年のプロ野球でも投手と野手を兼任したという例はないわけではありません。
オリックス・ブルーウェーブに在籍していた嘉㔟敏弘は大谷と同じように二刀流で話題となりました。実際に投手と野手どちらでの出場もあり、投手としては2001年には70試合に登板をするという実績を残しました。しかし、野手としては通算打率0.135、本塁打は0と両立をできていたとは言い難いものがあります。
それに対して大谷は投手成績は日本時代は5年で7完封を含む42勝を挙げ、防御率は2.52と一流の成績を残し、打者でも通算打率0.286、本塁打48本を放っています。投手と野手の両方で出場する関係上、打者の成績が伸びにくいので超一流の成績には見えないかも知れませんが、丹念で見れば2016年には3割20本の成績を残しており、打者としてもトッププレーヤーだということをうかがい知ることができます。
その後、大谷はMLBに移籍をして世界最高峰のリーグでも挑戦をすることとなりました。残念ながら2年目に怪我をして投手大谷の出場は激減してしまうことになりましたが、打者としては十分にMLBでも渡り合えるだけの成績を残しているため、まだまだこれから伝説の続きを見せてくれそうです。